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世界はQEからQTへ

2017-05-06        

    あれよあれよという間に四兆ドル近くあった中国の外貨準備が1月末に三兆ドルの警戒線を割ってしまいました。しかし、それからたった一ヶ月過ぎた2月末時点で予想に反してまた三兆ドル台に回復しました。このような好成績は、いうまでもなく中国政府が行った為替操作と貿易措置(輸入を減らし、海外投資を抑えるなど)の結果であり、一部のマスコミが喧伝しているような「中国経済が好転した」現れではないでしょう。

    連続の利上げに引き続き、トランプ政権は今またより厳しい通貨収縮政策(FRB資産圧縮)と大型減税案を実施しようと計画しています。この激しい通貨戦争の前で中国政府は呆然となすすべを知らないのです。世界一の経済体・アメリカが信用収縮期に入っている以上、EU及び日本もいずれこれに追随していくか思われますが、ドル本位制を取ってきたからこそ、中国は合わせて人民元を収縮させなければ、不況の真っ只中で元の値下がりやインフレ、資金流出など深刻な問題を招きかねないのです。

    ところが、残念なことにドクサイの新興国は押しなべてハイコスト・低能率を国家管理の特徴としています。欧米先進国のように自国通貨を収縮させることができないばかりか、今後アメリカの貿易赤字削減措置の実施及びアジア太平洋地域の政治軍事情勢の激変などに伴い、中国政府の歳出は拡大されるだけでしょう。それゆえ、通貨増発及び増税は、今後中国政府にとってやはり圧力緩和の主な手段となるかと考えられます。

    今後、人民元相場はまだまだ値下げを続け、国際貿易市場の萎縮に伴って中国政府の対外国為替規制も一層強化されていくでしょう。これは、中国に進出してきた多国籍企業、または進出しようとする外国企業に大きな影響を及ぼすに違いありません。

    時代が激変しようとしています。行先を見極めながら行動するのは、無駄足を減らす効果的な方法の一つだと思います。

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