崩壊?それともハードランディング? 2015-05-06 不動産バブルやシャドーバンキングの相次ぐ破綻により、中国経済はいよいよ崩壊の様相を呈し始めています。2015年年明け早々、中国の中央銀行は金融緩和の追加や預金準備率の引下げなどの経済刺激策を矢継ぎ早に繰り出してきましたが、いずれも奏功しなかったようです。
実体経済の持続可能な発展を図るため、中国政府は十年前からすでに産業構造改革活動を開始しました。しかし、長年経済発展モデルに積み重なった弊害はこれによって取り除かれるどころか、生産能力過剰などの問題がかえって日増しに深刻化しています。これを何とか解消しようとして、中国政府は海外市場の拡大に目を向け、企業の海外進出を促す方策をいろいろ打ってきました(AIIB設立を提唱するのもそのためだと思われますが。)。
そんな中で、人件費の上昇を含む中国での生産コストの高騰に伴い、外国企業の撤退が目立つようになりました。日系企業の場合、円安などの要素にも絡み、中国から撤退する日本企業も続出しています。 一方、中国市場をターゲットに新たに中国に進出してきた外国企業も少なくありません。この事実は日本の貿易振興機構の統計データによっても裏付けられています。 日本貿易振興機構の公表によれば、2014年上半期の日本の対中国投資は日本側統計ベースで減少したものの、日本の全世界への対外直接投資も減少に転じたことから、中国への投資のシェアは僅かに減少しただけだということです。また中国進出日系製造業は、輸出比率が高いほど事業拡大意欲が低下傾向にあるものの、中国国内販売を行う企業や業種では中国で事業拡大する意欲がかなり高いというのです。
凡そ、産業構造改革を実行するためには、マネー、テクノロジーと人材のいずれも必要不可欠な要素です。ところが、この三つの基本要素をすべて有する中国企業の数は知れたものです。ローエンド産業からハイエンド産業へ、更に川上産業から川下産業への躍進は、決して政治家が口で言うほど簡単なことではありません。結局、やはり先進国企業の参与なしでは成し遂げられるようなことではないでしょう。そういう意味でこれからの中国も先進国日本の企業にとっては挑戦すべき絶好な市場だと言えるでしょう。
PS
2015-07-31
6月に入って株価の暴落を受け、中国政府は更に公安を介入させるまでして株式市場のPKOに乗り出しました。これにより、株価の下落が一時的に押しとどめられたものの、バブル崩壊の危機が依然として大きく残っています。中国経済のハードランディングは更に現実味を帯びてきました。
産業構造の改革を推し進め、日々膨らんでいく過剰の生産能力を解消するために、中国政府はもう躍起になっているようです。企業の海外進出を促したり、国際通貨基金の特別引き出し権への人民元組み込みを画策したり、更にAIIBの設立をも提唱したりしてきましたが、いずれも順調に進んでいるようには見えません。無理だろうとも思いますが、引き続き見ていきたいものです。
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